Theory-of-Kのブログ

やわらかく生きる

【映画】『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』

巷で名作だと言われているが果たして。

 

見た感想としては、自分にとってはさほどでもない。

『雲黒斎の野望』も先日見たのだが、というか当初からあまりクレしんは映画に向かないんじゃないかなあという先入観があって、今更ながら初めて見たのだが、やはりどちらもあまり面白くもなければ、いい作品だとも感じない結果となった。

 

オタキングにいわれて確かに映像技術面でのクレしんのすごさ、良さはあると認めるのだが、それ以外の内容に関してはあまりピンとこない。

 

基本的な自分の見方としてのクレしんは「大人子供であるナマイキなしんちゃんがあくまでも常識世界を面白おかしく踊っていく」というもので漫画、アニメではうまく描写できるが映画では壊滅的にダメに描かれるという作品だと考える。

 

常識世界と言ったが、ギャグ調基調である作品であるので当然ながらおもしろ変人たちも多数でるのだ、しかしそれは漫画やアニメのテンポでこそ生きるわけで映画でとくに「本格的なシリアス変人」たちとしんのすけは基本的にかみ合わない。時間的に長すぎるし、しんのすけの行動に不自然性が生まれてしまうのだ。

 

本作品で気になったこと。

・子供たちの違和感

・懐かしいという世代感覚は人・年齢によって違うのではということ

・あのカップル以外の手下たちの思い

・ひろしは本当にあんなに弱いのか(ついでにみさえに代表される女性サイドの視点)

ということかな。

 

子供たちの違和感

正直自分は今でも子供時代の感覚はある程度保持している、できているのではないかと思っている。

その見地から思うが、子供は、といっても子供も千差万別なので一概にいうことはできないが、冒頭風間くんが、自分の親が変になったんだ、なんて言っていて、一方しんのすけはまだはっきりとは認識してない状態が描かれていた。これは現実基準だとまあおかしいだろう、子供であっても現実なら風間くん以前のレベルであの親の変質には気づくはずだ。アニメだから色々誇張して描いているとしてもあまりうまくはない気がする。親子の関係も、これまたケースバイケースでかつ時期的にも様々な場面があるのだが、基本的に野原一家というのはかなり「親密な」家庭だと思われる。つまりしんのすけというおバカ主人公はしかしながら鈍感なはずはないのだ。むしろ鈍感に最もなりそうなのは風間くんのほうだと考えられる。ただ風間くんも実はかなり甘えん坊という設定だったはずだからそうとも言い切れないが。

いずれにしろ、子供たちがここまで鈍感なのは映画という展開の仕様のせいになってしまっているのではないかと考える。

 

懐かしいという感覚のずれ

あの地下の街での年齢層なんかが特に違和感がある。ちなみに思い出したが、女子高生も大人として連れ去られているのはどういうこっちゃ。確かあの昭和街に60代以上と思われる夫婦がいて、しかし30代後半程度のやつらもいた。これって違和感ないか。それは主犯カップルも若干そうだ。懐かしいというのは世代によって違うのは当たり前だ、もちろん同じ世代でも、古き良き時代は違うことも考えられる。それがこの世界ではカップルの願望を中心とした一時代にされている。本当にお前らは「この時代でよい」と思ってるんかいな。いや逆にこのピンポイントが好きなやつらが集まったのかもしれない。特にカップルは年齢がやや離れているように見えるが、こいつらは割と一致しているのだろう。しかし他の奴らの年齢層をみるとあまり自然とは見えない。

昭和だけで60年ぐらいあるわけで、ずいぶん変化したはず。それを一括して見るのは違うと思われる。この手のことは未来からみるときに注意しなければならない。

 

手下たちについて

彼らが一番雑だった。象徴的なのは、トラック運送時の目的意識があいまいな場面だ。彼らが洗脳されているならまあわかるのだが、いまいちそういう描写はない。つまり彼らの意識はどうなっているのかということだ。カップルは昭和時代にするということで世界に対してどうするのかは語られなかったが、まあ世界侵攻はするのだろうとしよう。しかし手下たちはこの世界を受け入れている感はあまりない。そのあたりあまり説得力を感じない。

 

最後にひろし、みさえ。

みさえとか女性はいわゆる現実感覚があるのが一般的だと思う。これもいろいろな現実面があるのだが、少なくとも俺の感覚でこの手の意識に対して女性の方が誘惑にかかるというのはあまりない気がする。

そしてひろしのほうだが。

オタキングの解説では、ひろしは現実に疲れ、そして家族も意識レベルとしては裏切ったという。なるほど確かにそうなのかもしれない。

ただ、だがしかし、それにしてもひろしは弱すぎるのではないかという気がする。

現実のパパはもっと強い人が多いと思う。特にひろしに関しては、そこまで、この誘惑にドップリと漬かるほどには弱くないはずだというのが俺の見解。

なぜならこれまで、十分な経験を積みある程度の自信をつけたはずだからだ。

このぐらいの年齢でまだ不安定な部分があるというのも十分にあり得る話で、誘惑に屈する、フラッと気分になってしまうこともあろう、しかし一度回生したならばもう迷わないはずだ、少なくともひろしは。これは自分の勝手なひろし像かもしれないが、今までのくれしんを見ている限りでは、ひろしはそこまで弱くはないと思う。

 

 

以上、自分の本作の感想。クレしん映画はなぜかアニメ技術サイドがかなり凝っているみたいだけど、別の作品に力を入れた方がいいんじゃないかなあと思う。これは別にクレしんがダメというのではなく力のいれるべき部分の違いという意味で。くれしん自体は簡単なタッチが基調なので背景凝ってますって言ってもなんかアンバランスなんよね。