雰囲気ミステリーといったところか。
☆２かな。
リンク
冒頭に宮殿平面図が記載されているが、この作品の唯一のこの図をみたときから
嫌な予感がした。
この手の図が役に立ったことがないからだ。
大して想像性を助けることもなく、却ってミスリードになることが多い。
結論的には本作もそうだった。
序盤から不思議空間かつ、一応近未来らしいハイテク描写と、
しかしながら全体的にぼやっとした眠い展開が続く。
時々主人公の妄想ポエムが挟まるので、それもあまり面白くもない。
作者として一風変わったミステリーっぽいかつ思想的作品という新しい試みなのかも
しれないが、成功しているとは言い難い。
いくつかのトリックも、ミステリーファンなら容易に想像がつくレベルで、
ある程度予想しつつ読み進めたが、どうも中途半端な印象。
また文明・科学が進んだ世界の思想問答という面も強く、それにしてもイマイチ
面白さにはつながっていない。
自分の感想としては、基本に帰着する。
わかりやすい描写や論理的な展開を通す方が、よい作品になるというごく平凡な感想へ至る。
